体力的にとても弱っている人の治療について
前回は身体に刺激が入れば自己治癒能力を発揮できるパターンのお話でした。
今回はとても身体が弱っていて体力が底をついているような状態の治療についてです。
体力があるからこそ身体のエネルギーの流れが滞り、うまく回復のサイクルに入れない状態になるのに対して、体力が無くなっているからこそ動けないし考えもまとまらないし刺激も受けつけられないから刺激に負けてしまう状態の身体には「やさしく感じる力」で押すことが基本の方法です。
治療を受けている最中は痛みもありません。
「強い力」を用いるのか「やさしい力」を用いるのかの判断はその時触ってみたり患者さんとのやりとりの中で変えていく必要があると感じています。
やさしい力を使った治療でも、受けられる患者さんの状態で2〜3日ダルさが出たりする事もあります。
身体がとても弱っている場合はやさしい力の治療を行なっても充分に治療効果はあると経験上言えます。
しかし痛みを伴わない治療は時として受ける方に「本当にこれでなんとかなるのかな?」と疑問を持たせる事もあります。
しかし、治療後のなんだか軽くなる感じやちょっと楽になったけどまだなんか痛いところがあるような感覚は、とても弱っている身体にはちょうど良い治療の仕上がりと言えます。
◯治療する事は治療者側が受け持つ行為です。
◯治療をされる側の身体は、治療を通じて身体が現状から変化を起こして体力が回復し、体内の傷病部位が治癒していく過程を辿り治る事です。
上記の2つの事が共に存在する事で治療と治癒になります。
そうなれば弱っていた身体が健康な状態になります。
言葉で書けば簡単な流れに見えますが、ここには様々な葛藤や思惑と試行錯誤が繰り返されてやっと辿り着く山の頂上のような感覚があります。
自己治癒能力は体力の多さによるところ、すなはち生命力の大きさに比例しているように感じています。
普段は色々頑張れる強い方もなんかの都合で弱ってしまう事もあります。
治療者側の「強い力」に反応できず、身体の変化が見られない場合は「やさしい力」に切り替えて治療を行います。
この「やさしい力」は治療を受ける人の印象で名付けていますが、治療者側の身体の力の入れ方は強い力よりも集中力と体力と筋力を使います。
それぞれ一長一短の手技手法を用いて長い坂を登って行くように健康を目指しております。
治療後に穏やかな笑顔でいられますように。